平成28年度文化庁委託事業 劇場・音楽堂等基盤整備事業"情報フォーラム"
「劇場・音楽堂等における東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムを考える」
パネルディスカッション 各団体報告1
東京都が主導する文化プログラムの考え方と取組み
三好勝則
アーツカウンシル東京 機構長
(1)アーツカウンシル東京の事業区分
アーツカウンシル東京は、8館12施設を管理運営する東京都歴史文化財団の中に設置された組織であるため、本日のお話は必ずしも劇場・音楽堂等に特化したものではないことを初めにおことわりしておきます。
アーツカウンシル東京は、東京芸術文化評議会での政策提言や、これを踏まえた東京都の方針の下、事業を実施しています。また、事業評価およびカウンシルボードでの議論等を踏まえ、東京都への事業提案等も行っています。
そもそもアーツカウンシルの設立の原点は、2016年の東京オリンピック・パラリンピックを招致する活動の際に、東京都歴史文化財団と芸術文化団体などが協力して実施した「東京文化発信プロジェクト」にあります。招致失敗後も同プロジェクト室が事業を継続する一方、2012年に世界的な文化都市東京の実現を目指し「アーツカウンシル東京」が発足。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催決定を受けて、昨年に二つの組織が事業再編・組織統合して今日に至ります。
(2)東京文化ビジョンの文化戦略
東京都が2015年に策定した「東京文化ビジョン」の文化戦略では、「東京が持つ芸術文化の力で、都市力を引出し史上最高の文化プログラムを実現」するとうたっています。
「東京文化ビジョン」の施策の方向性 |
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①2016年リオ大会以降に展開される文化プログラムの先導的役割を果たす「リーディングプロジェクト」を国内外で展開 |
②都市を劇場とした先進的で他に類を見ない文化プログラムを展開し、東京の魅力を世界に発信 |
③2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組みを通じて、有形・無形のレガシーを創出し、次世代に継承 |
東京芸術文化評議会はこのビジョンを受け、都が主導する文化プログラムの具体的な考え方を提示しました。そのポイントは、伝統と現代の共存、国際的な交流、年齢や国籍・障害の有無を問わないあらゆる人々の参加、新たな発想、文化的な祝祭感、オールジャパンでの機運醸成などです。
(3)リオデジャネイロ大会の文化事業および現在展開中の事業
上記を踏まえ、東京都は2015年からリオ大会での文化事業に着手し、野田秀樹氏監修「東京キャラバン」と、日比野克彦氏監修「TURN」の二つのプロジェクトを実現。併せて「TOHOKU & TOKYO in Rio」として伝統・郷土芸能の公演を行いました。いずれも現地で大好評を博し、今後は国内展開を予定しています。
同時に、9月から「東京文化プログラム助成」として、民間団体や企業等が実施する大型の機運醸成プロジェクトを対象に、2000万円を上限とした助成を実施しています(申請38件、採択5件)。
(4)東京文化ビジョンの実現に向けた事業の継続
2020年までには、2018年の平昌冬季五輪大会、2019年のラグビーワールドカップなどのイベントが控えています。東京都では、こうした節目も意識して、文化プログラムを牽引するシンボリックな事業を展開していきます。同時に、公募等に基づき、さまざまな主体の新たな発想を取り入れ、海外との交流を促進して国際的な発信力を強化するとともに、東京都と全国各地が連携してオールジャパンとしての魅力の向上を図ります。その際には特に、20代、30代をターゲットに、若手主導・若手参加の機会をつくるため、現在アイデア募集を検討中です。
平成28年度文化庁委託事業 劇場・音楽堂等基盤整備事業"情報フォーラム"
開会挨拶
基調報告
パネルディスカッション
- 東京都が主導する文化プログラムの考え方と取組み
- アーツカウンシルの設立に向けた新潟市の取り組み
- 障害者プログラムの考え方と事例
- 文化の力による心の復興事業 2~3の事例から
- 地方劇場における文化プログラムの考え方