平成28年度文化庁委託事業 劇場・音楽堂等基盤整備事業"情報フォーラム"
「劇場・音楽堂等における東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムを考える」

基調報告2 文化プログラムの実施に向けた文化庁の取組について

村瀬剛太
文化庁 長官官房政策課 文化プログラム推進室長

(1)オリンピックにおける「文化プログラム」の位置付け
オリンピック憲章の根本原則には「スポーツを文化と教育と融合させる」とあり、「組織委員会は、短くともオリンピック村の開村期間、複数の文化イベントのプログラムを計画しなければならない」と明記されています。

オリンピックにおける文化の取扱いは、1912年ストックホルム大会での「芸術競技」に始まります。1952年ヘルシンキ大会から競技ではなく芸術展示を行うようになり、1992年バルセロナ大会からは数年をかけて行う多様な文化プログラムの時代に入りました。文化プログラムが文化と観光に与えるインパクトはより大きくなっています。

(2)文化プログラムに関する記述について
平成27年に閣議決定された「文化芸術に関する基本的な方針(第4次基本方針)」では、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を、日本の文化や伝統を世界に発信するとともに、文化芸術の波及力を生かして諸課題を乗り越え、新たな社会モデルの構築につなげるまたとない機会だと位置付けています。

また、「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備および運営に関する施策の推進を図るための基本方針2015」では、伝統的な芸術から現代舞台芸術、最先端技術を用いた各種アート、デザイン、コンテンツ、食、建築など多様な文化を通じて日本全国で大会の開催に向けた機運を醸成し、地方創生、地域活性化につなげるとしています。

(3)文化プログラム認証の仕組みとスケジュール等
認証の対象となるプログラムは大きく分けて以下の3種類です。

① 東京2020公認プログラム(仮称)
オリンピック憲章に基づいて行われる公式文化プログラム
◆対象:組織委員会、国、開催都市、会場所在地方公共団体、公式スポンサー、JOC、JPCが実施する、大会ビジョンの実現に相応しい文化芸術性の高い事業。
◆ロゴマーク:組織委員会が新たに作成予定(OCOGマーク)(公認マーク)
◆認証実務:組織委員会(2016年10月開始予定)
② 東京2020応援プログラム(仮称)
東京2020大会の関連事業として、非営利団体が実施する文化プログラム
◆対象:地方公共団体や独立行政法人を含む非営利団体が実施する、東京2020大会の機運を醸成し、オリンピック・パラリンピックムーブメントを裾野まで広げる事業。
◆ロゴマーク:組織委員会が新たに作成する予定(NCマーク)(応援マーク)
◆認証実務:組織委員会(2016年10月一部開始予定。全体は2017年4月)
③ beyond2020プログラム
国と東京都が一体となって推進する文化プログラム
◆対象:2020年以降のレガシー創出に資する、全国津々浦々で実施されるイベント等。公式スポンサー以外の企業等が実施する事業。
◆ロゴマーク:内閣官房オリンピック・パラリンピック事務局が作成予定
◆認定基準:同局が作成予定(開始時期は検討中)

(4)文化庁の取組み
文化庁の取組みにも大きく分けて3種類あります。

① 文化庁が主催するプロジェクト
10月に東京・京都で開催する「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」を皮切りに、新たな「文化×産業」の拠点を形成し、最高水準の日本文化を発信する芸術祭・文化祭を開催。
② 地方公共団体、民間等が主催する取組みを文化庁が補助するプロジェクト
「横浜音祭り2016」「瀬戸内国際芸術祭」など、地域の魅力ある文化芸術の取組みや、劇場・音楽堂等、トップレベルの舞台芸術活動、芸術文化の世界発信、美術館、博物館ほか多数を支援。
③ 民間・地方公共団体等が主体的に取り組むプロジェクト
地域の祭り等、草の根的な取組み。国民参加の観点から広がりのある形で行われることが期待される。

(5)文化芸術立国実現に向けた文化プログラムの推進
関係予算として29年度要求・要望額は376億円です。

2016年リオデジャネイロ大会後、10月から文化プログラムを実施し、2017年4月から本格展開、2019年のラグビーW杯、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を通して文化芸術立国の実現を図ります。

この機会を利用して、さまざまな日本文化の魅力を発信し、観光振興、産業振興、地方創生につなげていただきたいと思います。

平成28年度文化庁委託事業 劇場・音楽堂等基盤整備事業"情報フォーラム"

開会挨拶

基調報告

  1. 文化プログラムと劇場・音楽堂等
  2. 文化プログラムの実施に向けた文化庁の取組について

パネルディスカッション

  1. 東京都が主導する文化プログラムの考え方と取組み
  2. アーツカウンシルの設立に向けた新潟市の取り組み
  3. 障害者プログラムの考え方と事例
  4. 文化の力による心の復興事業 2~3の事例から
  5. 地方劇場における文化プログラムの考え方

質疑応答

意見交換

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