基本的な考え方
劇場・音楽堂等が、誰もが分け隔てなく、文化芸術を鑑賞したり、創作に参加したりできる、ひらかれた場として機能するために、私たちは何をするべきでしょうか。根本となる障害者関連法の理念を確認し、劇場・音楽堂等に求められているものを考えていきましょう。
障害者の立場に立って考える
あたりまえのことですが、いざとなると忘れてしまいがちなことでもあるといえます。そのためには、障害に対する知識と相手への想像力が不可欠です。
高齢化が進み、なんらかの介助や介護を必要とする人が増えることが予想されます。また、事故や病気で中途で障害を抱えることもあります。そう考えると障害はすべての人にとって身近な問題であり、他人事ではないという認識をもつことが重要といえるでしょう。
障害の特性をよく理解し、参加を阻む障壁を低くする努力をする
障害者を阻んでいるのは、本人の障害ではなく、それを受け入れる社会の側に存在する障壁です。障壁を取り除くことによって、またできるだけ低くすることによって、障害は軽減されます。障害の種別や程度によって様々な対応が求められますが、すべて完璧に対応できないからといって、受け入れないという判断をするのではなく、完璧でなくとも受け入れるために何かできないかを今後の改善も含めて対応することが重要です。例えば、ハード面の環境が整っていなければ、人的なカバーが可能か、次善の対応を工夫することが大切です。
障害者にやさしい施設はすべての人々に優しい施設である
劇場,音楽堂等の活性化に関する法律(劇場法)では、「地域の絆の維持・向上及び共生社会の実現に向けた取組」が主な事業の一つとして掲げられています。年齢や性別、障害の有無にかかわらず地域に住む人が分け隔てなく、劇場・ホールにアクセスでき、事業や活動に参加できるようにしていくことが求められています。障害者に向き合い、合理的な配慮をしながら対応することは、すべての人にとってやさしい環境づくりにつながっていきます。