よくある質問
Q. 避難訓練コンサートとはどのようなものか。
避難訓練コンサートとは、「公演の最中に実際に災害が起こったら」という設定で、避難訓練込みのコンサート事業を行うものです。2007年から年1回横浜みなとみらいホールでは、主に火災を想定した避難訓練コンサートを実施してきました。2011年8月、震災復旧工事を終えて再開館したばかりの水戸芸術館で東日本震災後全国初めての避難訓練コンサートが実施され、注目を浴びました。
その後、各地のホールに広がっていき、(公社)全国公立文化施設協会「令和元年度劇場・音楽堂等の活動状況に関する調査報告書」では、避難訓練コンサートを「実施したことがある」施設は回答施設(1,335館)のうち17.8%,「今後予定あり」が5.6%、全体の2割以上の施設が実施しているようです。
避難訓練コンサートでは、コンサートとそれを中断しての避難訓練、および、災害に関しての講義などがセットとして実施されることが通例です。演奏団体としては地元の学校の吹奏楽部や警察・消防・自衛隊などの楽団が協力する場合が多いようです。
避難訓練コンサートは、自治体や施設で作成した災害対策のマニュアルやガイドラインの実地検証という役目を背負っています。机上では最善の策に見えても、実際に数百人以上の観客の方々の避難誘導をしていくと、避難用の誘導サインがわかりにくい、多数の人間の通り抜けがしにくい経路がある等、様々なことが見えてきます。こうした実地検証を繰り返し、ガイドラインやマニュアルの更なる充実を図ること、職員・住民の皆様の避難への意識を高めていくことが、来るべき次の災害に向けての、大きな備えとなっていきます。既に、上記の「令和元年度劇場・音楽堂等の活動状況に関する調査報告書」では、危機管理マニュアルを策定している施設は国公立施設全体の68.0%が「ある」と回答し、「策定中」も7.2%あります。