よくある質問

公立の劇場・音楽堂等とは

Q15. 最近、「社会的包摂」という言葉をよく聞きますが、どういう概念なのでしょうか。

社会的包摂(Social inclusion)の概念を一言で表せば「文化芸術に備わる特性を活かし、社会的に孤立や困難を抱えている人々に対して社会参加の機会を開き、社会的課題の緩和や解決に取り組む継続的活動のこと」です。

 社会的排除(Social exclusion)を余儀なくされている人々──「貧困」「疾病」「障害」「教育の欠如」「麻薬常習を含めた犯罪」「家庭崩壊」などの状況下にある人々は社会的に孤立し、文化芸術の享受はもちろん、社会参加機会が失われがちです。であれば、文化芸術を用いた多様な地域事業を窓口に、そうした人々のコミュニティや社会への参加を促進していく。このような考え方が生まれたのは、1960年代半ば、福祉国家の危機が議論されていたフランスでした。その後、英国、EUへと広がり、現在、先進国の文化芸術政策や公共劇場・ホールの運営において社会的包摂は重要な概念となっています。

 日本においても、「劇場・音楽堂等の活性化のための取り組みに関する指針」(2013年3月)で劇場・音楽堂等が「社会参加の機会を拓く社会包摂の機能を有する基盤として、常に活力ある社会を構築するための大きな役割を持っている」と明示され、「文化芸術の振興に関する第3次基本方針」(2011年2月)では「文化芸術は、子ども・若者や、高齢者、障害者、失業者、在留外国人等にも社会参加の機会をひらく社会的基盤となりうるもの」と謳われました。こうした考え方は2015年5月に閣議決定された「第4次基本方針」にも引き継がれています。

 日本社会をみても、欧米社会ほどではありませんが、経済格差の拡大による貧困家庭の増加や、高齢者や在住外国人、障がい者の孤立などが社会問題化しつつあります。そうしたなか、例えば、児童育成手当受給家庭の館自主事業への無料招待や、在住外国人や高齢者、障害者などを積極的に招き入れる市民舞台創作などに取り組む公立劇場・ホールも見られるようになっています。公立の劇場・ホールの運営に関わる職員は、社会的に疎外される人々に目を向け、「排除しない」「孤立させない」という強い意志をもって、そうした取組をより積極的に展開していかなければなりません。

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